借金の整理の基礎知識

はじめに ~借金やクレジット債務の支払いが難しくなった場合~

 ショッピングやキャッシングなどによる多額の借金やクレジット代金について、予定通りの支払いが難しくなってしまった場合に、支払いを一部あるいは全部免除してもらったり、支払金額や支払期間を変えたりする手続が必要になります。具体的には、破産、個人再生、任意整理、特定調停の4つのメニューがあります。
 それぞれの手続の違いをしっかりと押さえたうえで、自分の状況にあったメニューを選ぶことが大事ですが、時間が経てば経つほど、選べるメニューが少なくなっていきます。したがって、できるだけ早い時期にご相談いただくことが、よりより解決のために重要です。          

「破産」手続のポイント 

☆破産手続の概要
 ・・・債務者が支払不能となっている場合に、めぼしい財産(不動産、高価品等)については換価(かんか)して債権者に配当できれば配当し、それでも残った債務がある場合に、個人については法的にその支払を免除(免責)してもらう

☆破産による不利益はあるか?
 ア.官報に住所と名前が載る(個人再生も同様)
 イ.破産手続が開始してから免責が確定するまでの間(実際上は数ヶ月程度)、一定の資格制限(警備員、保険外交員など)がある
 ウ.債務者(個人)の持っていた財産のうち、生活に欠くことのできない家具・家電類、99万円までの現預金については、債務者が当面生活していくために、自由財産として引き続き保有しておける
 エ.選挙権に影響はない
 オ.戸籍や住民票には載らない
 カ.家族(親、子、兄弟姉妹など)が保証人になっていない限り、家族への影響はない

☆破産手続の進め方 ~管財事件と同時廃止事件~
 ア.管財事件・・・裁判所が、破産管財人(破産申立代理人弁護士とは別の弁護士)を選任して、財産の換価、債権者への配当、免責調査などの手続を進めていく。管財事件になる場合は、破産申立時に、破産管財人の費用(最低20万円以上)を別に用意しなければならない
 イ.同時廃止事件・・・破産管財人を選任しない破産手続。債務者の財産が20万円未満しかなく、かつ、免責などに問題がないと見込まれる場合に、破産手続の開始と同時に手続を終了(廃止)する。債権者への配当も行われない
   
☆免責手続とは
 ・・・債務者が支払を免除してもらえるかどうかの判断をする手続。法律で決められている免責不許可事由があっても、当然に免責がダメという結論になるわけではない。形式的には免責不許可事由があっても、様々な事情を考慮して免責が認められるケースも実際上は多い(これを、裁量免責という)
  〔免責不許可事由の例〕
     例)多額のギャンブルの結果、借金が膨らんだ
     例)破産手続の中で財産を隠していた
     例)過去7年以内に破産で免責許可決定が確定した経験あり

☆非免責債権とは
 ・・・破産手続において免責が認められても、支払免除の対象にならない種類の債権
     例)税金
     例)悪意で加えた不法行為に基づく損害賠償請求権
     例)婚姻費用、養育費        

「個人再生」手続のポイント 

☆個人再生の概要
 ・・・支払不能のおそれがあるときに、債務者の財産を換価することなく、債務の内の一部(100~500万円)を原則3年(最長5年)にわたって返済させ、それを返済したときには残債務の免除が受けられる

☆個人再生手続の種類
 ア.小規模個人再生
  ・同意しない債権者の頭数が半数に満たず、かつ総債権額の2分の1を超えないことが条件となっている
 イ.給与所得者等再生
  ・比較的安定した収入が見込める必要があるが、債権者の同意は条件とならない

☆破産よりも個人再生を使った方がよいケース
 ア.住宅ローンを抱えているが、自宅を手放したくないとき
   ⇒住宅ローン+減額になった住宅ローン以外の債務を返していく
 イ.明らかに免責不許可事由があるため、破産しても免責が得られない場合       

「任意整理」手続のポイント 

☆任意整理の概要
 ・・・裁判所を使わずに、各債権者との間で話し合って返済可能な方法(金額、支払期間など)を探り、合意できればそれに基づき支払っていく。なお、任意整理と同様のことを、債権者との直接交渉ではなく、簡易裁判所の調停で行う手続を、「特定調停」という

☆任意整理のメリットとデメリット
 ア.メリット
  ①遅延損害金や将来利息をカットしてもらえる可能性が高いので、返済することで、確実に元金が減る
  ②それぞれの経済状況に見合った、現実的に可能な分割払いができる可能性がある
  ③裁判所を使わないので、官報に載るということもなく、手続がオープンにならない
  ④法律上の細かいルールがなく、比較的柔軟に処理できる
 イ.デメリット
  ①各債権者の同意が必要なので、そもそも話がまとまらない可能性がある
  ②「元本」の減額は基本的に望めないため、ある程度大きい金額を返済できるだけの収入などが必要