投資取引被害の救済

投資取引に関する被害・トラブルの分類
①金融商品をめぐるトラブル(対 証券会社、銀行)
  ・株式、債券、投資信託などの有価証券
  ・集団投資スキームなどのみなし有価証券
    =いわゆるファンド(出資を集め、投資・事業を行い、収益などを分配)
      例)アイドルファンド、ラーメンファンド、ワインファンド
  ・デリバティブ取引(外国為替証拠金取引(FX)、仕組預金、仕組債など)
②商品先物取引系のトラブル(対 商品先物会社)
③預託商法
④暗号資産(仮想通貨)
⑤未公開株、社債、ファンド、通貨など様々な名目での詐欺的な勧誘 

〔ポイント〕
一口に「投資取引被害」と言っても、投資の対象となった商品の特徴、規制する法律・ルール、相手方業者への対応の方法などが全く異なります
投資のリスクとリターンに関する基本的な考え方
1 投資に関するリスクの種類
 ⑴ 安全性
   ①価格変動リスク(価格が下落するかもしれない) 
     ←為替変動リスク(外貨預金、外債) 
     ←金利変動リスク(金利の変動→債券価格の変動)
   ②信用リスク(信用力の低下) 
     ※預金にもある(普通預金等のペイオフ解禁)
 ⑵ 流動性リスク(必要なときに、簡単に換金できるか)
  ・中途解約の可否(中途解約の場合に違約金が発生するか否か)
  ・買い手がつくような市場があるか

2 リスクとリターンの関係
 ①安全性が高い投資商品(ローリスク) ⇒ 収益性は低い(ローリターン)
 ②安全性が低い投資商品(ハイリスク) ⇒ 収益性は高い(ハイリターン)
 ③流動性がある投資商品(ローリスク) ⇒ 収益性は低い(ローリターン)
 ④流動性がない投資商品(ハイリスク) ⇒ 収益性は高い(ハイリターン)

〔ポイント〕
ローリスクでハイリターンのように見える(聞こえる)投資商品には、何か罠が隠されています
投資取引被害救済の実際のところ① 《相手方が証券会社や商品先物取引業者の場合》
1 救済に向けた方法
 ・直接の交渉で解決できるケースは非常に限られているので、民事訴訟(裁判)か、ADR(第三者機関によるあっせん等)の手続が必要

2 民事訴訟(裁判)をする価値がある事案かどうか(勝算)の判断要素
 ①顧客の知識・理解力(取引当時の年齢、取引する以前の投資経験、取引当時の判断力の程度)
 ②取引当時の保有資産その他の経済状況
 ③顧客の投資に関する意向(どの程度リスクをとるか等)がどのようなものであったか
 ④取引の対象となった商品の種類、リスクの程度、理解の困難さ
 ⑤客観的に見て不合理であると評価できる取引の有無・程度
   例)過当取引、両建、手数料の占める割合が大きい、集中投資
 ⑥取引開始に至ったきっかけ(自発的か、勧誘によるか)
 ⑦取引を主導したのは誰か(一任的な取引の有無)
 ⑧証拠関係の有無(訴訟になれば、勧誘時の録音など、証券会社等が保有している資料を開示させることができる場合もある)

3 民事上(不法行為に基づく損害賠償請求など)「違法」とされる類型
 ①適合性原則違反(顧客の知識・経験・財産状況・投資意向などにフィットしていない)
 ②説明義務違反(必要な説明をしていない、不適切な説明をしているなど)
 ③過当取引などの客観的に不合理な取引
 ④指導助言義務違反(顧客が危険な取引などをしている場合に、担当者が適切なアドバイスをしなかった)

4 ご相談から民事訴訟(裁判)の提起・判決までの一般的な流れ
 ①ご相談 ⇒取引の不合理性などを弁護士が分析・調査
 ②民事訴訟(裁判)をする価値があると考えられる場合、訴訟を提起する
 ③裁判所において、顧客側・業者側が主張や立証を行う(場合によっては、文書提出命令という方法で、業者側の保有資料を裁判所に提出させることができる)
 ④関係者(顧客や業者の担当者など)の裁判所における証人尋問
 ⑤判決
投資取引被害救済の実際のところ② 《詐欺的な投資被害の場合》
1 相手方と連絡ができて、まだ相手方が活動し続ける可能性がある業者
  ⇒速やかに書面を送って交渉による解決(返金)を目指す(長期化すると、連絡が取れなくなるなどして、回収が難しくなる)。

2 交渉による解決が期待できない場合は、訴訟によって回収できる可能性を見極め、可能性があれば、民事訴訟を提起して判決を取得し、少しでも回収を行う

3 詐欺であることが証拠上明らかである事案で、送金先に銀行口座が使われている場合、口座凍結を行い、振り込め詐欺救済法に基づく分配なども視野に入れる

4 民事訴訟を提起する場合、少しでも回収可能性を上げるために、法的な責任が追及できる可能性がある者を広く被告とする。具体的には、関係法人の役員、担当者個人、詐欺に用いられたツール(携帯電話、レンタルオフィス、銀行口座など)の提供者などが被告となり得る。
デリバティブ取引とは? ≪PDF≫
1 デリバティブ取引とは
2 デリバティブ取引の種類
3 先物取引とオプション取引の違い
4 デリバティブ取引の分類
 ア.原資産の種類による分類
 イ.取引所の有無による分類(市場デリバティブと店頭デリバティブ)
5 仕組預金の仕組み

〔ポイント〕
デリバティブは、一般に、内容や仕組みが複雑で理解が難しく、ハイリスクハイリターンの取引となっていますので、普通の方が手を出すべき商品ではありません。もっとも、一見しただけではデリバティブが組み込まれていることが分からないような金融商品もたくさん販売されていますので、注意が必要です。
金融商品取引法では、どのような規制がされているのか ≪PDF≫
1 業法としての金融商品取引法
2 金融商品取引法の適用対象となる金融商品の種類
3 金融商品取引業とは
 ⑴ 金融商品取引業の登録義務
 ⑵ 金融商品取引業の分類(それぞれ、最低資本金額などの登録要件が異なる)
 ⑶ 有価証券の自己募集と金融商品取引業の規制
 ⑷ 集団投資スキームの自己募集に関する登録制の例外
4 主な行為規制ルール
 ⑴ 広告に関する規制
 ⑵ 書面交付義務
 ⑶ 顧客に対して虚偽のことを告げる行為の禁止
 ⑷ 断定的判断の提供の禁止
 ⑸ 無登録格付業者の格付利用に関する説明義務
 ⑹ 政令指定商品の不招請勧誘の禁止
 ⑺ 政令指定商品の勧誘受諾意思を確認しないでする勧誘の禁止
 ⑻ 政令指定商品の再勧誘の禁止
 ⑼ 特別の利益の提供等の禁止
 ⑽ 契約締結・解約の際の偽計・暴行・脅迫行為の禁止
 ⑾ 迷惑時間勧誘の禁止
 ⑿ 損失補てんの禁止
 ⒀ 適合性の原則
 ⒁ 無登録業者による表示・勧誘行為の禁止
5 無登録業者による未公開有価証券の売付け等の原則無効 
6 クーリングオフ

〔ポイント〕
金融商品取引法は、基本的には行政処分につながる業法ですが、適合性原則違反などが認められる場合は、民法の規定を使うことで、損害賠償請求の根拠にすることができます
商品先物取引法では、どのような規制がされているのか ≪PDF≫
1 規制対象となる取引
2 開業規制
3 主な行為規制
 ⑴ 広告に関する規制
 ⑵ 断定的判断の提供の禁止
 ⑶ 顧客に対して虚偽のことを告げる行為の禁止
 ⑷ 顧客の指示を受けない一任売買の禁止
 ⑸ 委託をしない旨の意思を示した顧客に対してさらに勧誘することの禁止
 ⑹ 迷惑な時間・方法による勧誘の禁止
 ⑺ 勧誘に先立って、勧誘を受ける意思の有無を確認する義務
 ⑻ 同一限月・同一枚数の両建て(りょうだて)を勧めること
 ⑼ 政令指定取引の不招請勧誘の禁止(214条9号→施行令30条)
 ⑽ 損失補てん等の禁止
 ⑾ 適合性の原則
 ⑿ 契約締結前交付書面の交付義務
 ⒀ 説明義務
 ⒁ その他省令で定める行為(214条10号→施行規則103条)
  ①無断売買
  ②手仕舞い拒否
  ③異限月、異枚数の両建を、取引を理解していない顧客から受けること
  ④勧誘目的を明示しないセミナー等の禁止    など
4 民事ルール
 ⑴ 説明義務違反や断定的判断の提供禁止違反の場合の損害賠償義務
 ⑵ クーリングオフ規定はない

〔ポイント〕
通常の商品先物取引については、不招請勧誘が禁止されたことにより、以前と比べれば被害は少なくなりました。しかし、スマートCXによる脱法的な方法や、不招請勧誘禁止の例外の拡大により、商品先物取引被害がまた増えつつありますので注意が必要です。