遺留分という制度は何のためにあるのか
誰でも、自分の財産を遺言によって自由に処分することができますが、この自由が無制限に認められると、相続による遺産の取得を期待していた遺族(法定相続人)としては困

遺留分を持っている相続人を「遺留分権利者」といい、具体的には、①配偶者、②子(代襲相続も含む)、③直系尊属となります。
ただし、相続欠格、廃除、相続放棄によって相続権を失った場合には遺留分もありません。もっとも、このうち、相続欠格と廃除については代襲相続の開始原因となっていますので、代襲相続人が遺留分権利者となります。
遺留分権利者「全体」で確保されるべき割合(「総体的遺留分」と言います)は、原則として相続財産全体の2分の1です。ただし、相続人が直系尊属(父母・祖父母など)のみの場合は3分の1となります。
この全体の遺留分(総体的遺留分)に、各遺留分権利者の法定相続分をかけることで、遺留分権利者個々人の遺留分の割合(個別的遺留分)が算定されます。
個別的遺留分=遺留分算定のための財産の価額×総体的遺留分(2分の1 or 3分の1)×各自の法定相続分
≪遺留分割合一覧≫
相続人 | 総体的遺留分 | 各相続人の個別的遺留分 |
---|---|---|
配偶者のみ | 1/2 | 配偶者:1/2 |
配偶者と子 | 1/2 |
配偶者:1/4 (1/2 × 1/2)、子:1/4 (1/2 × 1/2) |
子のみ | 1/2 |
子:1/2 |
直系尊属のみ | 1/3 |
直系尊属:1/3 |
配偶者と直系尊属 | 1/2 |
配偶者:1/3 (1/2 × 2/3)、直系尊属:1/6 (1/2 × 1/3) |
(2025年8月22日)