証券業界や銀行業界が仕組債を販売停止へ

証券業界や銀行業界が仕組債を販売停止へ

〔仕組債の販売停止の流れの加速〕
 新聞報道などによれば、「三井住友銀行」は個人向けの仕組債について2022年7月から勧誘・販売を全面停止、「SMBC日興証券」は2022年8月から個人向けの仕組債の積極的な勧誘を控えることに、「みずほフィナンシャルグループ」は2022年9月13日から仕組債の一部について取り扱い停止、「大和証券」は2022年9月28日、「野村證券」は10月3日に、それぞれ個人向け仕組債の販売を原則停止したとのことです。

 

〔金融庁からの警告〕
 金融庁は、2022年に入り、仕組債について、リスクに見合ったリターンが確保されていないという商品性の問題や、広い範囲の顧客に対して、コスト等の開示や比較説明が必ずしも十分でない形で提案・販売されているという販売体制の問題などを背景に、「顧客本位の業務運営の観点に適さない商品が販売されている可能性が否めない」との見解を示しています。
 その上で、金融庁は、コンプライアンス・リスクも踏まえて、取扱いを継続すべきか否かを検討し、継続する場合はどのような顧客を対象にどのような説明をすれば真のニーズを踏まえた販売となるのか、経営レベルにおいて議論すべきと結論付けています。
 このような金融庁からの警告を受けて、証券業界や銀行業界による仕組債の販売停止の流れが加速してきているわけです。

 

〔仕組債の購入を勧められ、損失を被った方へ〕
 金融庁が見解を示しているように、仕組債の商品性や販売体制に多くの問題があることはこれまでも指摘されてきましたが、残念ながら、民事訴訟の中では、仕組債を購入して損失を被った方による証券会社に対する損害賠償請求が認められなかったケースもあります。
 一般に「投資は自己責任」と言われますが、それは、自己責任を問えるだけの前提条件が整っている場合の話であり、投資であればすべて自己責任で、勧誘した証券会社側の責任を問えないということでは全くありません。ところが、「投資は自己責任」という単純思考から抜け出せない一部の裁判官によって、仕組債の勧誘・販売に関して不当な投資家敗訴判決が出されてきたことは恥ずべきことです。
 金融庁からの警告によって、ようやくではありますが、個人向け仕組債販売に根本的な問題があることが明らかとなってきた今、仕組債の購入を勧められて思わぬ損失を被った方は、証券会社などの責任を追及すべく、まずは損害賠償請求についてご相談ください

(2022年10月8日)