日本の法律に基づいて登録している金融商品取引業者(証券会社など)が相手方となる場合の投資被害救済のポイント

日本の法律に基づいて登録している金融商品取引業者(証券会社など)が相手方となる場合の投資被害救済のポイント

〔ご相談から民事訴訟(裁判)・判決までの流れ〕
 日本の法律に基づいて登録している金融商品取引業者との間の紛争を、交渉によって解決できるケースはほとんどありませんので、民事訴訟つまり裁判を行って被害回復を図ることが基本的に必要になりますが、大まかな流れは以下のとおりとなります。

  1. どのような取引が行われたかを確認し、不合理な取引などがなかったかを、弁護士が分析・調査します
  2. 分析・調査の結果、民事訴訟(裁判)をする価値(勝算)があると考えられる場合、訴訟を提起します
  3. 訴訟手続の中で、被害者側・業者側の双方が主張や立証を行います。なお、訴訟になれば、勧誘時の録音など、金融商品取引業者が保有している資料を開示させることができる場合もあります。
  4. 関係者(被害者本人や業者の担当者など)を裁判所に呼んで話を聞く「証人尋問」という手続が行われます
  5. 裁判所の出す判決により、業者に損害賠償責任があるかどうかが判断されます。なお、判決に至るまでの間に、「和解」という形で、業者が顧客に一定の金銭を支払って事件が終わりになることも多くあります。

 

〔民事訴訟(裁判)をする価値がある事案かどうか(勝算)の判断要素〕

  1. 被害者の投資に関する知識や理解力はどの程度であったか(取引当時の年齢・健康状態・判断力の程度、問題となっている取引をする以前の投資経験の有無・内容など)
  2. 被害者の取引当時の保有資産、収入その他の状況と実際に行われた取引の規模とのギャップ
  3. 被害者の投資に関する意向(どの程度リスクをとるつもりであったかなど)がどのようなものであったか
  4. 取引の対象となった金融商品の種類・リスクの程度・理解の困難さ
  5. 客観的に見て不合理であると評価できるような取引(過当取引、損失の中で手数料の占める割合が大きい、集中投資など)の有無・程度
  6. 取引開始に至ったきっかけが、被害者の自発的なものであったか、業者の勧誘によるものであったか
  7. 実際に行われた取引を主導したのが業者であったかどうか(一任的な取引の有無)
  8. 問題のある勧誘であったことを証明できる材料(証拠)がどの程度あるか

 

〔民事訴訟で、損害賠償請求が認められる類型〕

  1. 適合性原則違反(顧客の知識・経験・財産状況・投資意向などにフィットしていない取引が行われていた場合)
  2. 説明義務違反(顧客が理解できるような説明がされていなかったり、不適切な説明がされていた場合)
  3. 過当取引などの客観的に不合理な取引が行われていた場合
  4. 指導助言義務違反(顧客がハイリスクな取引などをしている場合に、担当者が適切なアドバイスをしなかった場合)

 

(2022年8月29日)