信用情報を扱う機関は、株式会社日本信用情報機構(JICC)、株式会社シー・アイ・シー(CIC)、全国銀行個人信用情報センター(KSC)の3つがあり、加盟している会員から登録される信用情報や機関が独自に収集する情報を保有しています。
いずれの機関も、各金融機関からの照会に対して保有している信用情報を提供する点では共通していますが、それぞれの信用情報機関によって、加盟している金融機関(なお、1つの金融機関が複数の信用情報機関に加盟していることも多くあります。)、取り扱っている情報、信用情報が登録されている期間などが異なります。
①CIC
CICは、信販会社、百貨店、専門店会、流通系クレジット会社、銀行系クレジット会社、家電メーカー系クレジット会社、自動車メーカー系クレジット会社、リース会社、保険会社、保証会社、銀行、消費者金融、携帯電話会社など多様な業態が加盟しており、加盟会員数は2022年3月時点で902社となっています。
CICは、信用情報機関として国内最大規模の信用情報を保有しており、割賦販売法および貸金業法に基づく指定信用情報機関にもなっています。
なお、割賦販売法では、過剰与信を防止するために、クレジット業者に「支払可能見込額の調査」が義務づけられており、その際に指定信用情報機関の提供する信用情報を利用することが義務づけられています。また、貸金業法では、個人の借入総額について、原則、年収等の3分の1までとする総量規制があり、貸金業者が借り手の総借入残高を把握するために、指定信用情報機関制度が設けられています。
②JICC
JICCは、消費者金融を中心に、銀行やクレジット業者などが加盟しており、信用情報機関の中では最も加盟数が多く、2022年12月末時点で1294社(うち貸金業者数が803社)が加盟しています。
JICCは、消費者金融が中心となって加盟していますので、貸金業法に基づく指定信用情報機関となっていますが、割賦販売法に基づく指定信用情報機関ではありません。
また、CICやKSCはもっぱら「個人」に関する信用情報を扱っていますが、JICCは、個人だけでなく「法人」についての信用情報も扱っています。
③KSC
KSCは、全国銀行協会(JBA)が運営している、銀行・信用組合・信用金庫・農協などが加盟する信用情報機関です。メガバンクはもちろん、地方銀行やネット銀行も加盟しており、2022年3月末時点で1070会員となっていますが、消費者金融やクレジット業者は加盟していません。
このように、信用情報機関は、それぞれ加盟する金融機関が異なっていますので、ご自身の信用情報について調べる場合には、大まかに言えば、クレジット系の取引についてはCICかJICCに、消費者金融系の取引についてはJICCに、銀行系の取引についてはKSCに開示請求するのが適切と言えます。
もちろん、ご自身が取引のある会社がどの信用情報機関に加盟しているのか分からない場合や多数の債権者がいるような場合には、3つの信用情報機関の全てに開示請求するのが無難と言えます。
3つの信用情報機関はそれぞれ違う機関であり、保有している情報も異なりますが、それぞれが保有している情報を一定の範囲で共有しています。
具体的には、「FINE」、「IDEA」、「CRIN」という3つの情報交流ネットワークがあります。
①FINE
貸金業法では、複数の指定信用情報機関がある場合には、貸金業者が全ての指定信用情報機関を利用でき、顧客の総借入残高を把握できるように、指定信用情報機関の間での情報交流が義務づけられています。そのため、FINEでは、貸金業法に基づく指定信用情報機関であるJICCとCICの2つの機関での情報交流をしており、貸付の残高情報などを共有しています。
②IDEA
IDEAでは、3つの信用情報機関の間で、金融機関のカードローン・クレジットカードキャッシング、貸金業者の貸金業法対象貸付に係る債務等の情報を共有しています。
③CRIN
CRINでは、それぞれの信用情報機関が保有する信用情報のうち、延滞に関する情報および各信用情報機関に本人が申告した本人確認書類の紛失盗難に関する情報などを共有しています。
(2023年2月3日)