〔そもそも免責(めんせき)が認められないケース〕
個人の破産申立ては、借金やクレジット債務などの支払をしないでよい状態にする、つまり「免責」というものを得るために通常行われますが、法律で、およそ免責を認めない場合として、「免責不許可事由」がいくつか定められています。
免責不許可となる場合として、例えば、以下のようなケースがあります。
☑多額のギャンブルの結果、借金が膨らんだ
☑破産手続の中で財産を隠していた
☑過去7年以内に破産で免責許可決定が確定した経験あり
したがって、明らかに免責不許可事由がある場合には、破産をしても免責が得られないために、支払いを続けなければならず、破産を申し立てる意味がないケースが出てきます。
もっとも、形式的には免責不許可事由があっても、様々な事情を考慮して免責が認められるケースも実際上は多く、これを「裁量免責」と呼んでいますが、個々のケースで免責が得られるかどうかについては、専門的な判断が不可欠ですので、まずはご相談ください。
〔非免責債権に該当する債権〕
破産手続において、無事に免責が認められても、そもそも支払免除の対象にならない種類の債権が法律で定められており、これを「非免責債権」といいます。
例えば、税金、悪意で加えた不法行為に基づく損害賠償請求権、婚姻費用、養育費などは、破産手続によって免責を得たとしても、支払免除の対象にはなりませんので、引き続き支払う必要があります。
もちろん、破産して免責が認められている以上、非免責債権以外の債権については支払う必要はなくなりますが、破産をしたからといって、どのような債権であっても支払わなくてよいわけではないことに注意してください。
(2022年9月3日)