投資取引に関する被害のパターン

投資取引に関する被害のパターン

〔投資取引被害の2つのパターン〕
 投資を行ったところ、損が発生してしまったというケースでは、まず、誰と取引をしたかによって、大きく2つに分けて考える必要があります。
 なぜ2つに分けて考えなければならないかと言えば、一口に「投資取引被害」と言っても、規制する法律・ルール、被害救済が実際にできるかどうかの目の付け所、相手方への対応方法や手続の進め方などが全く異なるからです。

 

〔日本の登録業者との間の取引〕
 1つ目は、「○○証券会社」のような日本の法律(金融商品取引法)に基づく登録をしている金融商品取引業者から勧められて、株・債券・投資信託・FX・デリバティブなどの取引を行って損が発生したケースです。
 この場合は、取引の結果として損が発生してしまったというだけでは金融商品取引業者の責任を追及することはできませんので、金融商品取引業者の勧誘にどのような法律上の問題があったのかについて、様々な資料を集めて緻密に分析する必要があります。
 そして、被害救済のためには基本的に裁判所での訴訟手続が必要になりますし、実際に被害回復となるまでにはそれなりに時間がかかります。

 

〔日本の登録業者ではない業者との間の取引〕
 2つ目は、日本の法律に基づく登録を行っていない業者との間で投資に関する取引を行ったり、知人から勧められて投資のお金を預けたようなケースです。
 この場合は、そもそも投資取引自体が実際には行われていないような詐欺まがいのものがたくさんありますので、そもそも、相手方の連絡先が分かるかどうか、相手方から現実にお金の回収ができるかどうかといった、現実的な被害回復の可能性を吟味する必要があります。
 したがって、被害回復のためには、スピード感が必要になりますし、被害回復がうまくいかない可能性もふまえたいわゆるコスパを考えつつ、どのような手続を行うかを検討する必要があります。

(2022年8月28日)