デリバティブ取引の基礎知識

デリバティブ取引の基礎知識

〔デリバティブ取引の種類〕
 デリバティブ取引とは、石油・金などの「商品」や、株式などの「金融商品」、金利・為替などの「金融指標」(これらを「原資産」といいます)の取引から派生した取引のことで、金融派生商品とも呼ばれます。
 デリバティブは、一般的に、リスクヘッジの手段(価格・為替・金利の変動リスクを排除する)や、投機の手段(価格の値上がりに限らず、様々な局面において、少ない投資金額で大きな取引ができる)として用いられています。
 デリバティブ取引の種類としては、
 ①先物取引・・・将来の売買についてあらかじめ現時点で約束をする取引
 ②オプション取引・・・将来売買する権利をあらかじめ売買する取引
 ③スワップ取引・・・同じ通貨で異なるタイプの利息(固定金利と変動金利など)を交換する「金利スワップ」、異なる通貨間の将来の金利(ドル金利と円金利など)や元本を交換する「通貨スワップ」があります。

 

〔オプション取引と先物取引の違い〕
 オプション取引というのは、例えば「6ヶ月後に1株5,000円でA社の株式を購入できる権利」のようなものです。オプション取引は、売買できる「権利」を購入することなので、その権利行使による売買で得をするときだけ権利を行使し、損をするようなときは権利を放棄すればよい(もちろん、放棄すれば、オプションの購入代金は結果的に無駄になります)ということになります。
 これに対して、先物取引は、将来売買する「約束」なので、約束の価格と売買時の市場価格の関係によって利益にも損失にもなりうるもので、権利放棄ということはできません。

 

〔デリバティブ商品の例〕
 デリバティブを使った金融商品には様々なものがありますが、デリバティブそのものを取引する商品として、商品先物取引や個別株のオプション取引などがあります。
 他方で、デリバティブが組み入れられている商品、つまり、一見してデリバティブであることが分かりにくい商品として、実はオプションが組み込まれている「仕組預金」や「仕組債」のほか、通貨スワップが組み入れられており、為替リスクがある「リバース・デュアル・カレンシー債」(発行と償還は円で行われ、途中の利払いは外国通貨で支払われる債券)などがあります。

 

〔デリバティブ取引の分類〕
 デリバティブ取引を「原資産」の種類によって分類すれば、①商品先物取引などの商品デリバティブ取引と②商品以外(金融商品、金融指標)のデリバティブ取引の大きく2つに分けることができます。
 また、デリバティブ取引を「取引所」の有無によって分類すると、①証券取引所や商品取引所といった取引所に取り次ぐ「市場デリバティブ」(国内・海外の取引所取引)と、②市場を介さず、当事者同士(証券会社と顧客など)が1対1で取引(店頭取引、(相対(あいたい)取引、OTC取引)を行う「店頭デリバティブ」に分けることができます。
 この「市場デリバティブ」の例として、「くりっく365」(取引所FX)、「くりっく株365」があり、「店頭デリバティブ」の例として、店頭FX、店頭CFDなどの店頭先物取引があります。

(2022年9月12日)