投資の自動売買ソフトの販売は、「投資助言・代理業」にあたるのか?

投資の自動売買ソフトの販売は、「投資助言・代理業」にあたるのか?

〔自動売買ソフトの販売は、単なるソフト販売業か〕
 海外FXなどの取引に関する儲け話の入り口として、自動売買ソフトの購入を勧められることがあります。
 この海外FXなどの取引に実態があるかどうかももちろん重要ですが、そもそも、このような投資のための自動売買ソフトを販売する行為に金融商品取引法の開業規制(登録)は及ばないのでしょうか
 この点、自動売買ソフトの販売業者は、自分たちはソフトウェアの通信販売を行なっているに過ぎず、金融商品取引法の開業規制など及ばないと主張するケースがほとんどです。

 

〔金融商品取引法の「投資助言・代理業」とは何か〕
 「投資助言・代理業」とは、①口頭、文書その他の方法により助言を行うことを約し、相手方がそれに対し報酬を支払うことを約する契約(投資顧問契約)を締結し、当該投資顧問契約に基づき、助言を行うこと、または②投資顧問契約・投資一任契約の締結の代理・媒介のことです。
 このうち、①の投資顧問契約については、新聞、雑誌、書籍その他不特定多数の者に販売することを目的として発行されるもので、不特定多数の者により随時に購入可能なものは規制対象から除くとされており、監督指針においても、「販売店による店頭販売や、ネットワークを経由したダウンロード販売等により、誰でも、いつでも自由にコンピュータソフトウェアの投資分析アルゴリズム・その他機能等から判断して、当該ソフトウェアを購入できる状態にある場合」の「投資分析ツール等のコンピュータソフトウェアの販売」は投資助言・代理業にあたらないとされています。
 多くの自動売買ソフトの販売業者は、この監督指針を引用して、販売行為が投資助言・代理業にあたらない旨の主張をしています。

 

〔自動売買ソフトの販売が投資助言・代理業にあたる場合〕
 投資助言・代理業に関する監督指針には、留意すべき事項として、以下のような記載があります。

  • 「例えば、不特定多数の者を対象にする場合でも、インターネット等の情報通信技術を利用することにより個別・相対性の高い投資情報等を提供する場合や、会員登録等を行わないと投資情報等を購入・利用できない(単発での購入・利用を受け付けない)ような場合には登録が必要となる」
  • 「ソフトウェアの利用に当たり、販売業者等から継続的に投資情報等に係るデータ・その他サポート等の提供を受ける必要がある場合には、登録が必要となる場合がある」

 したがって、監督指針の記載からしても、自動売買ソフトの販売が、投資助言・代理業にあたる(登録が必要)ケースがあることは明らかです。

 

〔自動売買ソフトの販売が、登録が必要な投資助言・代理業かどうかのポイント〕

  • 会員登録が不要で、かつ単独で機能するような自動売買ソフトの売り切りでの販売は、基本的には投資助言・代理業にあたらない
  • 継続課金で、その対価として投資情報の提供を行うことが予定されている場合には、投資助言・代理業にあたる
  • 自動売買ソフトのテクニカルサポートやバグの修正などにとどまるものであれば、投資助言・代理業にはあたらないが、サポートの際に、投資情報を提供したり、相場予想をしたり、投資判断に関するアップデートを提供したりすると、投資助言・代理業となる
  • 北海道財務局は、「自動売買ソフトの販売・レンタル業者にご注意!!」と題して、「株取引や外国為替証拠金取引(FX)等を自動で行うソフトウェアについて、会員制で販売又はレンタルする行為は、一般的には金融商品取引法上の投資助言・代理業に該当すると考えられます」としている

(2022年9月21日)