無登録業者と取引をした場合の投資被害救済のポイント

無登録業者と取引をした場合の投資被害救済のポイント

〔投資詐欺のパターン〕
 最近の投資詐欺は、SNSやマッチングアプリをきっかけに知り合った人との間で、さりげなく投資の話になり、投資を勧められて、投資サイトを案内されることからはじまります。
 初めは、少額の投資を勧められ、投資サイト上では利益が出ているように見えますので、さらに高額の投資をするよう勧められ、少しずつ投資額が増えていきます。
 投資サイト上で利益が出ているので、ある程度のところで実際に出金しようとすると、「出金のために必要」として、さまざまな名目で送金を要求されることが繰り返され、いつまで経っても出金できない状態が続きます。そうこうしているうちに、当初連絡を取っていた相手や、投資サイト業者と連絡がとれなくなり、騙されたことに気づくことになります。
 かつては、高齢者が電話などをきっかけに投資詐欺被害に遭うことが多かったのですが、最近は、若い世代や中年世代が投資被害に遭うケースが非常に増えてきています。

 

〔投資詐欺事案の最大の壁 ~現実的な回収~〕
 投資詐欺事案においては、詐欺的な取引であることはある程度はっきりしていますが、被害に遭った額を、現実的に回収できるかどうかが最大の壁になります。
 そして、現実的な回収のために誰を相手方として請求するかですが、①投資業者は当然ながら、②勧誘に直接関わった者、③投資話の仲介者・紹介者、④振込先口座がある場合の口座名義人(犯罪収益移転防止法で、正当な理由がないのに、有償で、預貯金の振込に必要な情報などを提供した者は刑事罰に処せられる、とされています)、⑤その他の投資詐欺に用いられたツール(携帯電話など)の提供者、⑥上記①~⑤が法人の場合の役員個人などが請求する相手方の候補となります。
 もっとも、投資詐欺は、海外業者や外国人が関わっていることも多く、そもそも、これらの相手方候補が「どこの誰かが分からない」とか、「連絡がつかない」といったことになれば、現実的な回収は困難になります。

 

〔振込先の預貯金口座からの回収の可能性〕
 投資金を預貯金口座に振り込んだ場合には、「口座残高」からの回収が考えられます。
 具体的には、預金保険機構の「振り込め詐欺救済法に基づく公告」で検索するなどして、口座の凍結がされているかを確認します。なお、まだ口座凍結がされていないようであれば、急ぎ凍結をすることも必要です。
 振り込んだ口座にある程度残高がある場合には、振り込め詐欺救済法に基づく他の被害者との間での口座残高の分配の手続がはじまりますので、一部ですが、被害救済が受けられることがあります。
 なお、凍結口座の残高と時期によっては、口座の仮差押え(他の被害者との分配を行わずに独り占めする方法)を検討し、仮差押えをした場合には民事訴訟を提起する流れになります。

(2022年9月5日)