

26条(条文の改正)
2 管理者は、その職務(第18条第6項の規定による損害保険契約に基づく保険金並びに共用部分等について生じた損害賠償金及び不当利得による返還金(以下この条及び第47条において「保険金等」という。)の請求及び受領を含む。第四項において同じ。)に関し、区分所有者(保険金等の請求及び受領にあつては、保険金等の請求権を有する者(区分所有者又は区分所有者であつた者(書面又は電磁的方法による別段の意思表示をした区分所有者であつた者を除く。)に限る。以下この条及び第47条において同じ。)。同項において同じ。)を代理する。
(略)
4 管理者は、規約又は集会の決議により、その職務に関し、区分所有者のために、原告又は被告となることができる。
改正前の区分所有法でも、共用部分等について生じた損害賠償金などの請求について、管理者(いわゆる管理組合の理事長)が区分所有者を代理するとされていましたが、損害賠償請求権などが生じた後に区分所有権が譲渡された場合、元の区分所有者の請求権については管理者に代理権がないという考え方がありました。
そこで、改正区分所有法では、区分所有権が譲渡された場合でも、管理者が元の区分所有者についても代理権を行使し、訴訟の当事者となることができる旨が明示されました。
もっとも、元の区分所有者が、代理権を行使されることを拒否した場合(「別段の意思表示をした区分所有者」)には、管理者の代理権は認められません。つまり、改正法の下でも、損害賠償請求権などが、当然に新しい区分所有者に引き継がれるという考え方は取られていませんが、この点は管理規約で手当てすることができます。
〔改正前〕
(理事長の勧告及び指示等)
第67条
3 区分所有者等がこの規約若しくは使用細則等に違反したとき、又は区分所有者等若しくは区分所有者等以外の第三者が敷地及び共用部分等において不法行為を行ったときは、理事長は、理事会の決議を経て、次の措置を講ずることができる。
一 行為の差止め、排除又は原状回復のための必要な措置の請求に関し、管理組合を代表して、訴訟その他法的措置を追行すること
二 敷地及び共用部分等について生じた損害賠償金又は不当利得による返還金の請求又は受領に関し、区分所有者のために、訴訟において原告又は被告となること、その他法的措置をとること
4 前項の訴えを提起する場合、理事長は、請求の相手方に対し、違約金としての弁護士費用及び差止め等の諸費用を請求することができる。
〔改正後〕
(保険金等の請求及び受領等)
第24条の2 理事長は、前条の契約に基づく保険金並びに敷地及び共用部分等について生じた損害賠償金及び不当利得による返還金(以下「保険金等」という。)の請求及び受領について、区分所有者及び区分所有者であった者(以下「旧区分所有者」という。)を代理する。
2 理事長は、理事会の決議を経て、保険金等の請求及び受領に関し、区分所有者及び旧区分所有者のために、訴訟において原告又は被告となること、その他法的措置をとることができる。
3 保険金等の請求及び受領は、前2項の規定によらなければ、これを行うことができない。
4 区分所有者は、区分所有権を譲渡した場合において、区分所有法第26条第2項の別段の意思表示を行わない。
(略)
6 第1項及び第2項の規定に基づき区分所有者を相手方として敷地及び共用部分等について生じた損害賠償金及び不当利得による返還金の請求をする場合、理事長は、当該区分所有者に対し、違約金としての弁護士費用その他の諸費用を請求することができる。
〔改正のポイント〕
第3項は、本来、各区分所有者及び旧区分所有者に帰属するものである保険金等の請求権について、保険金等が共用部分等について生じたものであることを踏まえ、理事長による団体としての行使に一元化し、区分所有者及び旧区分所有者による個別行使を禁止するものです。
また、区分所有法26条2項では、旧区分所有者が「別段の意思表示」をした場合には、管理者は旧区分所有者を代理等することはできないとされていますが、第3項において保険金等の請求権の理事長による行使の一元化を図り、各区分所有者及び旧区分所有者の個別行使を禁止していることを踏まえ、第4項において、旧区分所有者による「別段の意思表示」についても禁止しています。
(2026年2月12日)