〔①具体的な財産の内容をどこまで書くか〕
遺言の書き方として、「長女に遺産の2分の1を相続させる」といったように割合だけを書く方法もありますが、「長男に対して自宅の土地建物を相続させる」といったように、具体的な財産の内容を書いた上で相続させる方法もあります。
遺言に具体的な財産を書かなければ、そもそも亡くなった人にどのような財産があるのかが相続人に分かりにくいですし、相続人が、遺産分割協議で具体的な遺産の行き先を決めないといけなくなってしまいます。
他方で、遺言に財産の内容を細かく書きすぎると、遺言書を作成した後に持っている財産の変更があった場合に書き直しが必要になりますので、どこまで具体的な財産を遺言に明記するかについてのバランスが必要になります。
〔②遺言に「想い」を書くことは、法律的には無意味でも非常に大切〕
遺言の中に、「自分がなぜそのような内容の遺言を作成したのか」について自分の気持ちを書いても、それ自体に法律的な効力はありません。
しかし、遺言が効力を発揮するときには自分はこの世にいないわけですから、遺言の内容についての自分の「想い」を丁寧に相続人に対して伝えることは、とりわけ法定相続分よりも不利な遺言になっている相続人に対しては重要な意味を持ちますし、相続人間の感情的な対立を和らげるためには大切なことです。
もちろん、自分の「想い」を伝えるためには、遺言書に文字で書く必要は必ずしもありませんので、遺言書自体はシンプルに作成しつつ、「想い」は動画に取って残しておくなどの方法でもかまいません。
〔③遺留分(いりゅうぶん)に気をつけて作成する〕
遺留分(どのような内容の遺言であっても、兄弟姉妹以外の法定相続人が最低限相続できる割合のこと)に配慮しながら遺言を作成しなければ、せっかく遺言を作成しても、相続人が遺留分で揉めることになってしまいます。
遺留分を侵害するような遺言を作成すること自体は許されていますので、どこまで遺留分に配慮した遺言にするかについて、相続人の気持ちを考えながら作成する必要があります。
(2022年9月6日)