不動産売買の共同仲介と不動産仲介業者の責任

不動産売買の共同仲介と不動産仲介業者の責任

仲介業者の媒介契約に基づく責任

 不動産業者が不動産売買契約に仲介業者として関与している場合において、「建物に欠陥があった」、「聞いていた話と違う」などといった売買契約上のトラブルが生じたときに、売主や買主が、相手方だけではなく、仲介業者の責任も合わせて追求するケースがあります。
 そもそも、売主や買主が仲介業者に対して売買の仲介を依頼する契約(「媒介契約」といいます)をしている場合、この媒介契約に基づき、仲介業者は、依頼者に対して「善管注意義務」(不動産仲介の専門家として当然期待される注意をすべき義務)を負います
 にもかかわらず、仲介業者が、必要な調査や説明を怠って売主や買主に損害が生じた場合には、注意義務違反があったとして、仲介を依頼してきた売主や買主に対して損害賠償責任を負うことになります。
 なお、購入した物件に不具合(欠陥)があった場合、売主が買主に対して、いわゆる「契約不適合責任」(以前は、「瑕疵担保責任」と呼ばれていました)を負います。この契約不適合責任は、あくまでも「売主」が負う責任であって、仲介業者の責任ではありませんが、仲介業者が、物件の不具合(欠陥)について、必要な調査や説明を怠ったという具体的な事情があれば、媒介契約上の義務違反として債務不履行に基づく損害賠償責任を負うわけです。


売主や買主と媒介契約関係にない「相手方の仲介業者」の責任

 売主側と買主側のそれぞれに仲介業者が入る「共同仲介」(いわゆる「片手」の場合)によって売買契約が成立し、売買契約上のトラブルが生じた場合、売主や買主は、自分と媒介契約をしていない相手方の仲介業者に対して、損害賠償を請求できるでしょうか?
 たしかに、この場合、媒介契約関係がない以上、契約上の義務違反を根拠として損害賠償請求をすることはできません。
 この点、最高裁昭和36年5月26日判決では、「不動産仲介業者は、直接の委託関係はなくても、これら業者の介入に信頼して取引をなすに至つた第三者一般に対しても、信義誠実を旨とし、権利者の真偽につき格別に注意する等の業務上の一般的注意義務がある」として、仲介業者は、自分の依頼者だけでなく、取引の相手方に対しても(例えば、買主側の仲介業者が売主に対しても)、信義則上の注意義務があると判示しています。
 したがって、売主や買主は、自分とは媒介契約関係にない相手方の仲介業者に対しても、不法行為を根拠として、損害賠償請求ができる場合があります

(2026年2月26日)